朝旦の跡形【R18】
十七巻の雄々しいぎゆさんがかっこよすぎて…!前に書いたのよりがっつかせるのに挑戦。
生きるか死ぬかの戦いに明け暮れる隊士は、家で帰りを待つばかりの私には想像もできない重圧があるのだろう。柱ともなれば尚更だ。
義勇さんは帰ってくるとひと通り食事と入浴をし、それでも収まらない熱があるのか「部屋に来てほしい」と求めてきた。それを受け入れ鎮めるお手伝いをすることも私の務めの1つだ(と勝手に私は考えている)。
***
障子越しの薄明かりの中で一糸纏わずに抱き合う。脚を持ち上げられ体重をかけられると共に深く繋がった。
「っあ!ぅ…ぎゆ、さっ…」
ぐぐ、とあまりに深いところまで義勇さんでいっぱいになる。枕を掴んで久しぶりの感覚に耐えていると、ふいに肩口に新しい傷が増えているのに気づいた。思わず手を伸ばして触れる。
顔をしかめる私の意図に気づいたのか、返事をするように私のお腹の上を大きな手が滑る。「ここにいるぞ」と示すかのように。荒い息を吐きながらのその仕草はあまりに官能的で、胸の奥が苦しくなった。
ぴくん、と義勇さんの体が揺れる。
「もう、動いていいか」
見下ろす深い瞳の中の明らかな興奮の色に、うなずくことしかできない。私の承諾を確認した義勇さんは、ず、ず、と少しずつ抜き差しを繰り返し始める。脚の間に感じる痺れのような疼きに堪らず声が漏れた。
「は、んぅ…義勇さ、…っ」
すがるものを探して手を伸ばすと義勇さんは体をかがめて私の顔の横に手の平をついた。縮まった距離に安堵して腕をその背に回すと繋がりが深くなり、ずちゅ、と音を立てて奥を強く突かれる。思わず目を見開き背に爪を立ててしまった。
深い交わりに夢中になり、ひたすらお互いの呼吸の音と水音の響く室内に、突然「カアァッ!」と湿った空気を裂くような鋭い鳴き声が割り込んだ。びくっと2人で体を揺らす。
繋がったまま動きを止め、障子越しに動く小さな影を息を殺して見守った。廊下に降り立った鴉は、てちてちと足音を立てながら部屋に入れないか探るようにうろうろしている。やがて諦めたのかその場で甲高い声を張り上げ始めた。
「伝令ッ!北ノ山に鬼アリ!」
遠方ノ為早急ニ出発セヨ、と続く。
「…すぐに向かう」
いつも通りの静かな返答を聞いた鴉は、翼を広げ飛び立っていった。
影が消えるのを見送り、準備を手伝わなければと体を起こしかけるが、肩を押されて再び布団に倒された。呼びかけようとする私の口を塞ぐように脚を担ぎ上げられ、上から叩きつけるような動きが落ちてくる。
「〜〜ッ!」
あまりの衝撃に目の前がちかちかして強く目を瞑った。瞼の裏でもなお星が瞬いている。その容赦のない動きは揺さぶられながら体ごと宙に浮いてしまいそうなほどだ。それを許さないかのように、剛直が杭を打つように奥に叩き込まれる。
「っすま、ない…!もう少し、」
苦しそうな声に何とか薄目を開けると眉根を寄せた義勇さんと視線が合った。ぽたり、と顎を流れた汗が私の腹の上に落ちる。
義勇さんが私で気持ち良くなってくれている。嬉しくなって再び手を伸ばすと吸い込まれるように体が降ってきた。腕を背と腰に回され、先程よりもしっかりと抱き合い肌と肌がぴったりと合わさる。
義勇さんの吐息を耳元で感じながら息を詰めて昂ぶりを受け止める。がくがくと数度今日1番激しく揺さぶられ、お腹の奥にぐりぐりと先端を押しつけられるのがわかった。
は、は、と静かな部屋にお互いの荒い吐息が響く。力の抜けた体はずっしりと重く、耐えかねて身じろぎすると、ずち、と音を立てて引き抜かれて体が離れた。
余韻に浸る猶予がないことはわかっていたので、くらくらする頭に鞭を打ってすぐに体を起こす。
「お風呂の準備を」
「いい」
「ではせめて体を拭いてください」
手早く着物と髪を整えて風呂場に走った。力の入らない足がもつれそうになる。一瞬で追いつかれ「俺が行った方が早い」と肩に担ぎ上げられた。
桶に水を張り水浴びをしてもらっている間に、乾いた手拭いと洗濯の済んだ隊服を揃える。
結局一睡もしていない。短い分いつもよりも激しいくらいの行為でもあった。鍛えられた体躯を拭くのを手伝いながら顔色を伺うが、不思議そうに見返してくるだけで涼しい目元は相変わらずだった。
「任務が終わりましたら宿をとってくださいね」
体を心配して声をかけるが返事はない。きっと続けて任務が入らない限り多少無理をしてでもまっすぐ帰ってくるつもりなのだろう。
ため息をついて背中を拭くと古傷に混じって真新しい並行の傷が幾筋か増えているのに気づいた。カッと顔が熱くなる。義勇さんは手を止めた私を振り返りながら、肩甲骨の上にある傷を見た。
「問題ない」
「でも」
「気づかれたら猫にひっかかれたとでも言う」
猫って。顔から火が出そうだ。
やっぱり手当てを、と背を向けると、ぐいと抱き寄せられた。ゆるく崩れた着物の襟を後ろから引かれ、露わになった項の下を、ちう、と音を立てて吸われる。ちりちりとした痛みに体が震えた。
「…誰にも見られないように」
「っ!誰に」
見られるんですか!と声を上げたが、一瞬で束縛は解かれ脱衣所は私1人になっていた。用意した着替えは消え遠くで鴉が鳴くのが聞こえる。
鏡に映すと肩甲骨の間に赤い痣が浮いていた。私の肌を滑った熱い息と水浴び後の冷えた義勇さんの肌が思い出されて、再び体の奥に熱が灯される。ずるい、とその場にしゃがみ込んだ。火照りはなかなか引かなかった。