義勇さんちの住み込みさん

冨岡義勇

過去も現在も未来も気にせずに、ばらばらと書きますので読み手様が混乱しないように…!アップ順ではなく時系列でまとめています。
2020年9月11日、web版としては完結しました。

【R18】コンテンツについてはこちらをお読みください。

目次

序章

両片想い期

両想い期

終章

※暗めです

SS

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酒に飲まるるべからず 2

家に明かりがついているので驚いた。てっきり一人暮らしだと思っていた。ごめんください、と声を張り上げると、がらりと戸が開いて強い藤の花の香りが広がる。

「夜分に失礼します。竈門炭治郎と申します。冨岡義勇さんのお宅はこちらでしょうか」

名乗っている間に俺の後ろから影が躍り出て女性に駆け寄る。そのまま迷いなくぎゅうと抱きついた。

「義勇さん!?」

影を受けとめた女性は驚いたように声を上げる。ぽかんとする俺と女性を他所に、義勇さんは女性の首筋に頬ずりしたりすんすん匂いを嗅いだりとやりたい放題だ。「隊の方の前ですよ」と押し退けようとするが普通の女性の力では無理だろう。諦めて「お見苦しいところを」と謝罪される。

「いえ!仲睦まじいようで何よりです!」

女性は恥ずかしそうに目を伏せた。優しそうな人だ。何となく雰囲気が母さんに似ている。義勇さんが子どものように甘えているからだろうか。

「あの、義勇さんは相当な量を飲んだのでしょうか」
「量はそうでもないと思います」

お店の人の誘いを断りきれずいくらか飲んだ後、ぽつりと「家に帰りたい」と漏らしたので送りに来た、と義勇さんの肩越しに経緯を説明した。

「それはそれは…ご面倒をおかけしました」

女性は青い顔でぺこぺこと謝罪を繰り返す。いたたまれなくなり「そろそろお暇します」と伝えると、女性は「竈門様がお帰りですよ」と義勇さんの背中を優しく叩いた。振り返った義勇さんは女性を腕の中に閉じ込めたままにこにこと手を振ってくる。いつも冷静沈着な兄弟子の見たことのない笑顔に戸惑い、反射的に手を振り返してしまった。

***

(…今日はびっくりすることだらけだった)

闇の中を駆けながら先程の出来事を反芻する。一番驚いたのは義勇さんの変わりようだ。
店からの道中は何を話しかけても無表情のまま、一切喋らず俺ですら近寄りがたい雰囲気だったのに。あの女性の顔を見た途端ぱっと気配そのものが柔らかく変わった。

(よっぽど好きなんだな、あの人のこと)

今度会ったときに色々聞いてみよう、と考えながら仮宿への道を急いだ。

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