義勇さんちの住み込みさん

冨岡義勇

過去も現在も未来も気にせずに、ばらばらと書きますので読み手様が混乱しないように…!アップ順ではなく時系列でまとめています。
2020年9月11日、web版としては完結しました。

【R18】コンテンツについてはこちらをお読みください。

目次

序章

両片想い期

両想い期

終章

※暗めです

SS

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蜜蜂と玉虫

「義勇さん、一緒に住んでいらっしゃる女性がいたんですね」

うっかり酒に呑まれ炭治郎と彼女を会わせる機会を作った自分を呪った。

別に存在を隠している訳ではないのだが。説明が煩わしいので積極的に人に話さないようにしていた。こういう事は面白おかしく人から人へと伝わりがちで、こちらがはっきりと言い切らなければ、それを助長するのは明白なので尚更だ。

そう思うのだから「お前には関係がない」と突っぱねてしまえばいい。しかし子ども相手だと何とも言い辛いものだ。考え倦ねて黙っていると、炭治郎の連れの金髪と猪頭が「何だ何だ」と寄ってきた。曇りなき眼が六つに増えて益々辛い立場に立たされた。

積極的に話したくない本当の理由は俺に後ろ暗いところがあるからだ。許してくれる優しさに甘えて、肝心なことを伝えるよりも先に我慢ができなくなった、なんてとても口にできない。

「ずっと黙ってる…どうしたのかな」
「きっと爛れた関係ってやつだろ。炭治郎、お前あまり大人の事情に立ち入るなよ」
「見境ねえな」
「………、俺は」

俺はちゃんと、好きだ。

好き勝手に言われる状況に耐えられなくなり口に出したが肝心な所は声にならず、はくはくと口が動くだけになった。が、少年隊士達は目敏く、ぱあと顔を輝かせる。

「どこが!?どこが好きなんですか!?」
「炭治郎…」

これ以上は勘弁してほしい。そのつもりで片手を前に出したが興奮は収まらず鼻息荒く詰め寄られた。その後ろで金髪も「水柱が惚気けた!」などと叫び、それを皮切りに大して関心のなさそうな様子だった猪頭まで一緒になって大騒ぎを始める。

堪らず踵を返して逃げ出した。喧しく追いかけてくる気配があるが振り切ればいい。あのまま事態の収拾をはかるよりもずっと楽だ。

慣れない喧騒に頭が痛くなってくる。静寂と平穏が漂うあの家に即座に向かい「おかえりなさい」と柔らかく俺を迎え入れてくれる彼女に会いたくなった。

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