不死川兄弟の幼馴染

不死川実弥&玄弥

不死川兄弟を追って隊士になった幼馴染の夢話。風柱に追いつきたくて玄弥と一緒に任務と修行に明け暮れる日々。タ○チのような「本命一体どっちなの!?」な三角関係を目指してます。

目次

本編

お題

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夕顔を蒔く

「前から思ってたんだけど、こんな広いお屋敷に一人って寂しくないの?」

長椅子にふんぞり返っている様はまるで自宅のようだ。足を組んで座るな、と注意をすれば「実弥兄はうるさいなあ」としぶしぶ座り直す。唇を尖らせる顔はよちよち歩きで必死に俺の後をついてきた頃と変わっていない。手足が伸びてやっと女らしくなってきたかと思えばこれだ。

「いいなあ。ここならお風呂もあるし修行場だって室内だから天気なんて関係ないもんね」
「…お前は岩柱のがいいんだろ」
「私は玄弥のおまけだもん。修行も稽古も玄弥中心」

どいつもこいつも人の言う事なんざ聞きやしねえ。玄弥の名前が出てこめかみが、ぴきっと鳴った。何やってんだ、あいつ。

「やっぱり実弥兄はすごいねえ。貧乏長屋からこんな立派なお屋敷に住めるようになったんだもん」

きらきらした瞳を向けられて毒気を抜かれる。蟠った感情が一瞬で溶けていったのがわかった。雛鳥の刷り込みと一緒だ。たまたま近くにいた俺が程よく年が離れていて都合が良かった。それでも慕われて悪い気がしない自分がいた。

「…つけてやろうか。風柱様特別の個人稽古ってやつをなァ」

びびらせれば帰るだろう。こいつと長く居ると調子が狂って仕方がない。長椅子の背もたれに片手を置くと、ぎしりと軋んだ。構わずに体を近づけると、俺の影に隠れた中で目だけがやけに煌めいているのがわかる。夏の川面のようだ。昔、水切りをして遊んだのを思い出した。

「実弥兄、おじさんみたい。他の女の人に言ったら捕まるかもよ」

真顔で曰わった。これだから餓鬼は…!言い合うのも馬鹿らしくて言葉を飲み込み、脱力して元の椅子に戻った。

それでも意味するところは伝わっている事に気がつき思わず顔を見る。せいぜい「怖い」と泣くか「稽古つけてくれるの!?」と飛びついてくるかが関の山だろうと思ったのに。無垢な子どもだと侮っているは俺の欲目なのか。

「…何?」

訝しげに見返される。舌打ちをして「何でもねぇよ」と返事をした。

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