蝶屋敷のまかないさん

嘴平伊之助

蝶屋敷に滞在する隊士の食事を作りながら伊之助と恋に落ちる夢話。屋敷の女の子たちとにこにこふわふわ、伊之助と甘酸っぱいお話が中心です。

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八巻七拾話「人攫い」の舞台裏

顎を掴まれ無理矢理視線を合わせられる。

「…お前は?隊士か?」

掴まれる力に抗い、何とか首を振ると「あっそ」とあっさり解放された。その力の強さと威圧的な態度に圧倒され、へたりと座り込んでしまう。

のしのしとアオイちゃんとなほちゃんを担ぎあげて出て行こうとする背中を追おうとするが、足に力が入らなかった。同じ柱といっても音柱と胡蝶様とでは雰囲気が全然違う。任務を全うする為ならいくら犠牲を払おうと構わないつもりのようだ。そんな人に二人が連れて行かれてしまったら。考えただけで恐ろしい。

カナヲ様が必死に追い縋るのが見えた。私も加勢しなければ。

「泣くなっ」

座り込んだまま聞き覚えのある声に振り返ると、すぐ傍で翡翠色の瞳が覗き込んでいた。ぐいと親指で顔を拭われて、ああ私泣いているのかと自覚する。

伊之助さんの声と指が力強くて、安堵からかまたぽろぽろと涙が零れた。チッと舌打ちをしてべろりと頬を舐められる。「しょっぺえ」と呟いて目尻に蓋をするように唇を落とされた。優しい感触に驚いて、ぴたりと涙が止まる。

「よし」

ぽんぽんと私の頭を叩いて猪頭を被り直し、表へと駆けて行った。なんだろう、前に会った時と伊之助さんの気配が違う気がする。

私が腰を抜かしているうちに表の騒ぎは収束したようだ。何とか立ち上がり解放された二人のところに駆け寄る。

二人の代わりに任務に行く、と宣言するのが聞こえて驚いて門を見上げた。柱と、増してこんな恐ろしい人と一緒に行って大丈夫なのだろうか。心配でその背中を見つめ続けたが、伊之助さんはもう私を見なかった。

リクエスト:遊郭編の宇髄さんと蝶屋敷の女の子達の騒動に伊之助夢主を混ぜる

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