蝶屋敷のまかないさん

嘴平伊之助

蝶屋敷に滞在する隊士の食事を作りながら伊之助と恋に落ちる夢話。屋敷の女の子たちとにこにこふわふわ、伊之助と甘酸っぱいお話が中心です。

目次

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つやつやのどんぐり、珍しい形の落ち葉、きらきらのビー玉。台所の一角に宝物が増えていく。「それは何ですか?」とアオイちゃんに尋ねられ、「『すごく美味しかった』の証、ですって」と答えると、ますます不思議そうに首を傾げられた。


胡蝶様よりいただいた負傷者の表の中に、伊之助さんの名前を見つけた。あんなに元気な様子で出発していったのにと嫌な想像がぐるぐると巡り、足の力が抜け体が傾く。がしりとたくましい腕に支えられた。
見上げた猪頭は包帯の巻かれた胸を叩き「勝手に殺すな!」と声を張り上げた。


「雪が深くてこれしかなかった」とまだ茶色い芽が膨らんだ枝を差し出された。
「食い物じゃなくて悪い」とも。
「伊之助さんからの贈り物は、何でもうれしいですよ」と返すと「本当か!?」と目をきらきらさせた。
数日後、冬眠中を掘り起こされた蛇とカエルが勝手口に放り出されており、発見したアオイちゃんの絶叫が響いた。


味見も内緒のおやつも私の特権だった。優しい姉ができたようでうれしかったのに。
任務に行ったあの人の瞳の色をしたビー玉を寂しそうに転がす横顔を見ると、何も言えなくなってしまう。
「どうしたの?アオイちゃん」
何か食べる?と向けられた笑顔はいつもよりも暗かった。


「次は天ぷらがいい」
「怪我をしないで帰ってこれたらそうしましょう」
「…怪我したら何になるんだよ」
「苦ぁい薬湯と味のしないお粥です」
それを聞いて、うげと顔を歪める。
「伊之助さんはお強いから絶対天ぷらですよ」
たくさん用意して待っていますから。どうかご無事で。

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